「ツボ」を突く。

色々な「ツボ」を突いてみる。

餅屋は餅屋

 先月下旬の台風で、2階のベランダの波板が3分の2ほど失踪なされた。 代わりに他

所ン家の波板がいらっしゃっていた。


 久々に家が揺れるような強風だったのと、築20年そのまま風雪に耐えて来られたの

で致し方なかろう…が、正直出したくない出費だ。


 かと言って放置もできないので、手先はあまり起用でないながら“DIY”で頑張るこ

とにする。


 まずは、「枠」の形状と必要な材料の確認だ。 DIYでやるので、今度は長持ちする

ように材料は少し張り込んでもいいだろう。


 ホームセンターに行く。


 今までじっくり見たことなかったが、ブリキ製,塩ビ製,ガラスネット製,ポリカ

製,トタン,ガルバリウム製…一般に手に入るだけでもこんなにあった。


 今張ってある物は「ガラスネット波板」と言って、ここ2,30年で一番ポピュラー

なものだ。 これより耐久性のあるものにしたい。


 おっ、「ポリカーボネート製」? これが一番耐久性があってしかも「ガラスネッ

ト」より安い。決定。 固定フックも同じ材質のもので、と。


 あっ、波板って専用のハサミが要ったな? これもゲット。 場所によっては隙間を

詰める「パテ」っぽい物も必要らしい。ということで「シリコンコーキング」。


 帰宅して、いざ設置。 今張ってある物も切ったり加工したりの形跡もなし。じゃ

あ、これに新しいのを重ねてフックの位置をコピーし………あっ、ほんの少し短い! 

規格が変わってる!! 


 いや、違う。 ウチは中古物件。 前のオーナーは近所の工務店の大工さんで、在庫で

余っている材料を駆使して自作した家との事だ。だから所々一般の規格より長かったり

短かったりする。


 …待て待てぇ。なら、もう1回細部確認や。 と、隈なく「枠」の細部まで見てみると、エライことに気が付いた。


 場所によっては、どんな順序でやっても「距離」「隙間」共、手の届かない場所に固

定フックを打つことになってしまうのだ。


 まるで「ピラミッドの謎」だった。


 毎日数時間をこの修理に当てていたのだが、この謎を解くまでに、ただただジッと穴

の開くほど枠を眺めたり、ホームセンターへ行って店員さんに相談したり、で10日も

掛かってしまった。


 で、その10日後、その「謎」は爆笑と共に「御開帳」する。


 きっとこの10日でワシの頭の中は無意識的に「順序」と「How to」を検索し続けて

きたのだろう。いよいよ煮詰まってヒットしたのは、好きだった作家「中島らも」の一

番くだらなくて笑えるエッセイのエピソードだった。


 昔の「便所」についてのエピソードで、中学時代、ある友人宅の便所は「汚物」を溜

める槽が浅いのか、「大」をすると必ず「跳ね返り」が襲ってきた、と。それをいかに

体をのけぞってよけるか、で友人同士で盛り上がっていると、別の友人が「俺はそんな

苦労したことない。何をそんなに困るのか?」と。「じゃあ、お前はどうやって『跳ね

返り』を避けるのだ?」と尋ねると一言「そんなモン、便器の横にウンコして後で足で

蹴って落とすんじゃい。」と平然と言ってのける、という話だ。


 そこで「スコーンッ」と閃いた。ワシの発想がそもそも「スタート地点」を間違って

いたのだ。


 ベランダをよく見ると、波板の「枠」はベランダからボルトで「着脱」できるのだ。

つまり、波板を枠に入れて固定フックを打ってから元に戻しただけだったのだ。これな

ら、届かない所に手を入れなくても済む。


 ただし、結局のところ致命的だったのは、1×4m弱で2階に設置の“ ブツ ”は「一人

で持てない」という如何ともし難いことだった。


 作戦練り直しである。


 通常、波板の固定フックは小さい穴を開けて、屋根の上側表っ側から差し込む。で、

それができないので、2枚の板の重なった「継ぎ足し」部分に2か所穴を開けて、そこ

へ「結束バンド」を往復で差し込んで枠の「梁」に縛り付ける方法を取った。我ながら

名案だったと思う。


 幸い、板は「色付きの透明下敷き」さながらだったので、「釣り糸」を輪にして穴へ

通し、「往」の穴から出た結束バンドを「復」の穴へ引っ張り込んで結びつける。あと

は「コーキング」で防水。


 よしっ、もう先は見えた。 しかも、ちょっと作業が楽しくなってきている。


 人間、余裕が出てくると良くも悪くも色々考えられるようになる。 もし、ホームセン

ターに出張作業を頼んでいたら、「どのくらい」だったのかな?


…禁断の疑問だった。


 「ええっと。仮で見積もらしてもらいました。お客さんのベランダの大きさと「造

り」の感じでいったら…はいっ、○○円くらいですね。半日でできるでしょうし。」


 あ痛いたたたたた……。び、び、微妙だあああぁぁぁ。


 材料費と、今まで掛かった手間と時間を考えたら……微妙だああぁぁぁ。


 「いやあ、お客さん? おたく、良くやったはりますよ。今DIY流行ってるんで、

色々素人のお客さんお越しになるんですけど、最後まで我慢できずに結局我々業者に頼

む人が多いんです。大体、修理作業がうまくいかないからって、そもそも最初にどんな

工程で造ったのか、まで考える方あんまりいませんよ。感心してるんです。」


「ああ、そう。おおきに。頑張るわ。」


何か、ホヤホヤした気分で店を出る。ワシは「一つ良い経験と勉強をした。」と喜ぶべ

きなのか、2週以上も時間を浪費したとみるべきなのか。


いずれにせよ、まだ終わっていない。独り者は基本、何でも、最後まで、やらないとど

うしようもないのだ。

 

合掌。