「ツボ」を突く。

色々な「ツボ」を突いてみる。

女子レスリング問題「パワハラ」認定 - 「ハリル解任」と同じかも?

前々回、レスリング界のパワハラ問題について私見を述べた。そして誤解の無いよう断

っておくが、断じて「栄監督擁護派」でも「栄ファン」でもない。

 

ええ、ご存じの通り、第三者機関とされる所が「パワハラ認定」を訴え内容の7,8割

に対して出した。

 

栄氏も辞任し、一般的な視点では栄監督が「パワハラ」のレッテルを張られた形で収束

へ向かっているように見える。

最近は「認定」されるまでメディアにろくろく「顔出し」もしなかった「被害者」の一

田南部力氏が、これまでの恨み辛みを晴らすがごとく「こんなもんではなかった。も

っとあった。」と暴露に口滑らかな様子がよく映されている。もう、ほぼ「発言権」の

無い栄氏を尻目に。

 

うううん、やっぱり何かおかしい。…いやいや、「何か」どころではない。

 

「家事」でいうなら、この問題は「派手に燃えた個所」についてだけ当事者も野次馬も

「あらああ、あの燃え残ったタンス、高そうなのに勿体ないねぇ。」てな風に“盛り上が

った”だけで、本当の「出火元、出火原因」について、誰も探ろうとも語ろうともしな

い。

そう、極端に言えば田南部氏や安達氏の訴えも、「本当の出火原因」にはあまり意味を

持たない。

 

 

「何故、栄・伊調師弟は“ 仲違い ”することになったの

か? その本当のところは?

 

 

ここに尽きるのである。

 

 

実際、訴えの中で栄氏のパワハラ認定された言動にも二人の「不仲」を示唆するような

ものがあった。

 

そこで、先日の「ハリル解任」を見ていて、「あっ、レスリングのパワハラ問題もコミ

ュニケーションの問題ちゃうの?」と直感的に思ったのだ。

 

ハリルホジッチ監督解任は、ここまでの道のりで代表チームを運営・前進させるには日

本お得意の表現「腹を割って話す」機会や機能が不十分だったようで、チームの方向

性・サッカーそのものの内容・感情面様々な切り口でも選手監督一丸となって世界と戦

っていくには不十分と判断されてのようだった。ここで重要なキーワードとなったの

は、「コミュニケーションの希薄化」。

 

「あれっ、『猛反対した親を振り切って上京し、そこそこ上手くやっているのにわだか

まりが解けず互いに連絡しない親子』みたいなモンじゃないの?」

 

もともとは、

 

自分の想像以上に成長し「新たな見解と志向」を持って自分の下を去った弟子の話を聞けない師匠、一方で「意固地な師匠」をじっくり説得することを辞めてしまった弟子

 

ここに他人(同じレスリング関係者だが、この師弟関係にとっては…)が介在してしま

ったことで、巻き込むように「飛び火」したのではないのか?

 

同じ弟子でも「吉田沙保里」氏はオープンな性格サービス精神旺盛で一般にも広く知ら

れる。リオで4連覇を果たせずカメラを通じて日本国民に涙ながらに謝罪したのは記憶

に新しい。

 

一方、「求道者」「ストイック」という言葉を見事に具現化したような人物が伊調氏

で、五輪4連覇も今回の騒動もこの性質の賜物かもしれない。テレビ出演時も必要以上

な言葉数で話さない。…こんなところを見ても、栄氏からの「独立」を切り出した際、

ショックで感情がやや過ぎた師匠の反応を見て、文字通り「冷めてしま」い(日本人の

『情』で言えば、「一応育ててもらったんだから、じっくり説得してみたら」という所

だが。)説得を辞めてしまったのでは? というのが想像に易いところだろう。

 

田南部氏も伊調氏に就くんだったら、まずは「もうちょっと時間をかけて説得してみた

ら?」と促すべきだった。それでも溝が埋まらない時、話が他を巻き込んでパワハラ

へコジレる前に協会上層部に仲裁に入ってもらうなどしていれば、栄氏も「話を聞く度

量を持つ指導者」という部分を問われることになり、世間を巻き込んだ騒動にはならな

かったろう。

 

 

 

まあ、何にしても東京五輪本番前に5連覇の可能性がつぶれなくて良かった。

 

栄氏も辞任に際して同じように「内ゲバでの5連覇阻止と取られなくて良かった。」様

のコメントを残したが、この辺りにも師弟のコミュニケーション不足が原因で「権力の

誇示」からくるものでなかったことが窺える。栄氏もまだ「純粋なレスリング愛好者」

だったのだ。

 

 

 

合掌。