「ツボ」を突く。

色々な「ツボ」を突いてみる。

= 門田隆将さんの目に留まったら、ありがたいのですが… =

先日の日曜午後、某「~言って委員会」なる番組を見ていた。

 

幾人かの死刑囚に接見・インタビューしたジャーナリストから垣間見える意外な一面な

どを紹介し、凶悪犯罪と人間について考えていくものだった。

 

何と言っても興味惹かれたのは、先日刑を執行された故井上嘉浩刑囚だった。

1995年当初、私は京都の某大学の大学院に通っていた。

 

そして地下鉄サリン事件。後、オウム真理教の教祖・幹部が逮捕され取り調べが進み報

道される中で思わず「おっ」となったのは彼の経歴だった。

 

彼は京都市出身で、オウムへ入信する前の10代は、勉学もスポーツも優秀なあの私立名

門校「洛南高校」へ籍を置いていたのだ。

 

何かの報道でこの事実を知った瞬間、思わず「何とツイてない。何と勿体ない人生 !!!

」と叫んでしまった。彼は思春期独特とも言える漠然とした杞憂や不安を「その時なり

に」消化できず、信じられるものを求めた結果「インチキモンスター」の元へ辿り着い

てしまったのだった。

 

彼は何もオウムでなくても十分に杞憂や不安と向き合うことのできる「学校」がすぐ近

くにあったのだ。すぐ近くなんてものじゃなく、ある世界的に有名な場所で、その同じ

敷地内に洛南高校と同じ学校法人( + 宗教法人)を母体にしてそれはあったのだ。

 

場所はかの五重塔の「東寺(教王護国寺)」。世界で最も古い「私立学校」として「弘

法大師 空海 」が設立した「綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)」、現在の「種智院大

学」だ。(種智院大学は現在、京都市郊外に移転)

 

真言密教を心柱に、現在では仏教学・社会福祉学も学ぶことができる。

 

私事ながら進学前はこの大学に通っていた。だから「勿体ない」と思ったのだ。

 

オウムの「インチキ神秘」の表面はこの「本物」からのパクリだ。

何と皮肉な巡り会わせだろう。

 

彼は麻原彰晃が各所本物からパクって継ぎ接(は)いだ「インチキ神秘」に惹かれたよ

うだが、真言密教には仏教の哲学的側面はもちろんの事、空海の行脚エピソードに見ら

れるような科学的側面、真言を唱えて事を成すような神秘的面、「阿字観」のような瞑

想法もある。

 

綜芸種智院には彼の杞憂や不安に対峙しうる「メソッド」が豊富にあったのだ。

 

何故、彼と種智院がつながらなかったのか。彼は逮捕の後、拘置所生活の中でチベット

語を学び、真言宗と同じ密教系に当たるチベット仏教の経典を翻訳してしまっている。

彼は普通に仏教や密教の大家になっていた未来もありえたのだ。

 

洛南高校! 勉学・スポーツに優秀もまことに結構だが、仏教がバックボーンの学校なら

思春期の杞憂に寄り添ってやることも重要な役割だったのでは?

 

門田さん、彼は種智院大を知らなかったのでしょうか?

 

 

合掌。